広島高等裁判所 昭和31年(う)583号 判決
論旨は原判決は、判決に影響を及ぼすこと明かな法令の適用の誤りがあると謂うにある。
よつて記録を見るに、本件公訴事実は、選択刑として罰金が定められている、たばこ専売法第六六条第一項第七一条第一項第一号の罪であるから、簡易裁判所が第一審として管轄権を有すること、裁判所法第三三条第一項二号の規定によつて明かであるが、簡易裁判所は同条二項によれば同項但書以外の事件については、禁錮以上の刑を科することはできないのであり、若し同裁判所がその制限を超える刑を科するを相当と認める場合は、同条三項刑事訴訟法第三三二条により、事件を地方裁判所に移さねばならないのである。
然るに原審はたばこ専売法違反の罪については右裁判所法第三三条二項但書に掲げてないのに拘らず、敢て同罪につき懲役刑を選択して、被告人を懲役二月(但し執行猶予二年)に処したのであるから原判決は明らかに裁判所法の前記規定及刑事訴訟法第三三二条、第三七九条に違反したもので破棄を免れない。論旨は理由がある。
よつて同法第三九七条により原判決を破棄し同法第四〇〇条本文に則り本件を原審たる尾道簡易裁判所に差戻すべきものとし主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 柴原八一 裁判官 渡辺雄 裁判官 牛尾守三)